社会化トレーニング
子犬の引渡しは「生後8週」がなぜ大切なのか 〜社会化期から考える適切なタイミング〜
「子犬は少しでも長く母犬や兄弟犬と一緒に過ごした方が良い。」
誰もが一度はこのような話を聞いたことがあるかもしれません。
実際、お迎えされるオーナー様の中にも、少しでも長く置いて欲しい、とリクエストされる方がいらっしゃいます。
確かに、母犬や兄弟犬との生活は子犬の成長にとって非常に重要です。しかし、「長く一緒にいればいるほど良い」という考え方は、犬の発達を考えると必ずしも正しいとは言えません。
今回は、子犬の社会化という観点から、生後8週前後で新しいご家族へお迎えいただくことが望ましい理由をご紹介します。
母犬や兄弟犬から学ぶこと
生後3~8週頃までの子犬は、母犬や兄弟犬との生活を通して多くのことを学びます。
例えば、
- 咬む力の加減
- 犬同士のコミュニケーション
- 遊び方
- 相手の気持ちを読み取るボディランゲージ
これらは将来、他の犬と良い関係を築くための大切な基礎になります。
そのため、多くの国や団体では、生後8週未満で母犬から離すことは望ましくないとされています。
実はもっと重要なのが「社会化期」
ここで見落とされがちなのが、「社会化期」の存在です。
犬の社会化期は、おおよそ生後3週頃から12週前後までの期間とされています。
この時期の子犬は人や環境を柔軟に受け入れます。
そして子犬は
- 家族との生活
- 子どもや他の動物との触れ合い
- 掃除機やテレビなど家庭内の生活音
- 車や自転車
- 動物病院
- 首輪やリード
- さまざまな場所や匂い
こうした経験を、この限られた社会化期に積み重ねることが、その後の性格形成に大きく影響します。
「親兄弟と長く一緒」が必ずしも最善ではない理由
もちろん、犬舎では社会化は行います。ブリーダーとしての責任です。
しかし、新しいご家庭でしか経験できないことは数多くあります。
例えば、
- これから何年も一緒に暮らす家族との愛着形成
- 家庭ごとの生活リズム
- 飼育環境
- 家の中でのルール
これらを社会化期の真っ最中に経験できることは、子犬にとって大きなメリットです。
もし「少しでも長く親兄弟と一緒に」という理由だけで引渡しを遅らせ、その間に新しい家庭での社会化の機会を逃してしまえば、本来得られたはずの経験を失う可能性もあります。
大切なのは「どこで過ごすか」ではなく「何を経験するか」
「生後10週まで犬舎にいたから社会性が高い」
「生後8週で迎えたから社会性が低い」
このように単純に決まるものではありません。
重要なのは、
社会化期にどのような経験を積めるか
という点です。
世の中のブリーダーさんの中には、10・・12週・・16週頃まで育てることをよしする方もいらっしゃいます。
一方で、愛情深いご家庭で計画的に社会化が進められるのであれば、生後8週頃から新しい生活を始めることにも十分な合理性があります。
マイスターの考え
マイスターでは生後8週から7~10日間をお迎え期間として設定しています。
社会化期という貴重な時間を、新しいご家族と一緒に過ごしていただきたいと考えているからです。
新しい環境で家族との信頼関係を築き、さまざまな人や音、生活環境に慣れていくことは、将来の穏やかな性格や適応力につながる大切な経験になります。
子犬にとって本当に重要なのは、「親兄弟と少しでも長く一緒にいること」ではなく、社会化期を有意義に過ごすことです。
マイスターでは、その最も大切な時期をご家族とともに歩み始めることが、子犬の幸せにつながると考えています